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海を望むボロ長屋

AREA垂水区塩屋町

築60年程度のかなり傷んだ木造2階建てアパートをかなり安価で購入しました。車の入らない、いい意味で塩屋っぽい集落の道から更に20m程の間口1mの建て込んだ路地の奥に入ったところに木造2階建てアパートはありました。

本当にボロボロでしたが、傾斜地にある為手前の家より1段(4m程)高い場所に建っており、まだ住まわれていたことや、この外観に普通の人ビビるだろうけど僕はむしろ愛おしく思うなと感じたことを憶えています。

BEFORE

AFTER

PROCESS

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こんな車が入れないとても「塩屋的」な集落にその家はあります。
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周囲は積み重なるように家が建っています。
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公道からさらに間口1mの路地を20mほど入り込んだところに築60年強のその木造2階建てアパートはありました。
塩屋アパート9
壁のひび割れやベランダのサビやひさしの歪み,外観だけでもそこそこ迫力のあるダメージの建物でした。
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こういった車の入らない集落の建造物は再建築不可となっています。でもなんでも可能な新築より、あるものを有効利用して最大限の工夫とアイデアを必要とするリノベーションって相当楽しいことなんじゃないかと思っています。
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外観とは裏腹に内部の、特に2階部分からの海を望む景色は素晴らしく、日当り等の立地条件も含めての雰囲気はとても良かったです。
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大きな海を望む窓を持った広い部屋に、というのが大まかなビジョンだったので、まずは間仕切りの壁を抜いたり、天井を抜いたりしました。 一応建築家に構造的な強度の相談等もしました。
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どんな建物にも共通することですが構造が剥き出しにになるというのは美しいものです。
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ホームセンターで買える範囲の木材(ホームセンターで予めカットしてもらう)や金具でロフトを組みました。さすがにこの作業は知識のある友人との2人作業です。
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屋根からの熱を遮断する為に断熱材を入れます。
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窓は一点豪華主義で最大限に広げました。
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外観は若干無理矢理な大きな窓が目立ってます。外壁塗装は銀色、意外と派手というよりは周りの状況を淡く反射していて、ある意味溶け込んでいます。
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いい景色を楽しむ為に窓を最大限に広げ、縁側っぽく座れるベンチもとても心地よく、いい部屋になりました。
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元々の押し入れはオープンな棚に。奥行きも有効利用してとても使いやすそう。小さな床の間だった空間には冷蔵庫が納まってます。仕切りには取り外したドアを嵌め込んだり。
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元々の窓がとても可愛い。そこに24mの針葉樹合板でカウンターを取り付け。こういう新旧が融合し合体する趣きは大事にしています。
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ほとんど元のまま、ちょっと便利な棚板を1枚。
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押し入れという一見深過ぎて使用に困る収納もオープンな収納&ディスプレイ&機材スペースとして いい具合に有効活用されている、ちなみに1部冷蔵庫を嵌め込むために切断し廃棄物として出た建具で仕切っている。
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ロフト部分の住人の寝室、広い窓の開放的な部屋と対照的な屋根裏の穴蔵も過ごしやすそう。
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現在旧グッゲンハイム邸スタッフが住んでるこの「眺めのいい部屋」は人が集う、喜びを生み出す場所として親しまれています。
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塩屋の面白いところはこういった穴場的な場所が映画のロケとかに使われたりという思わぬ副産物があったりするところでしょうか。(ぴあ関西版WEB|映画「ハッピーアワー」スペシャル対談企画)
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いろいろと見違えるように変身した部屋はこれからも長く住み続けられることでしょう。
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ディテール❶ 販売価格千円のラワンベニヤにちょっとオイルステンで色を整えエゴマ油仕上げの床、コストパフォーマンスはめっちゃいい気がします。手触りもとてもいいです。
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ディテール❷ 屋根の下に断熱材を入れて閉じた天井も解体で発生した廃材を最大限に使用しつつ大きな面はラワンベニヤ。全体エゴマ油を塗っています。
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ディテール❸ 部屋の解体で発生した廃材の敷居などををいい塩梅に嵌め込んだ壁はとても気に入っています。
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ディテール❹ ロフトを支える井桁の構造。
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ディテール❺ ボロボロの扉も頑張ってパーッチワーク。
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ディテール❻ よう作らないと諦めていた階段はたまたま竹中大工道具館に工具の伝授に来ていたドイツのマイスターな大工さんに依頼。10万円のと4万円の工賃で制作。正に渡りに船でした。
※記事内の文章は原文を尊重しています。

つくった人

森本アリ