このリノベガイドも最終回になります。今回は見積もりの内容についてです。見積書には建築工事の難しい専門用語や内容がありますが、押さえるポイントは多くありません。実際の見積書を参考に、見るときのコツを説明していきますので覚えておきましょう。また、工事の種類や内容を簡単にでも理解しておくことで、設計事務所や工務店との交渉や相談もよりスムーズになります。

見積書を見るときのコツ

設計事務所や工務店などから上がってくる見積書には各工事の種類、購入する設備、費用などが記載されています。金額が気になると思いますが、まずは基本的なポイントとして、下記の項目をチェックしましょう。

・作成年月日の記載があるか、押印されているか
見積書を出してもらってから、相談し、修正してもらうこともよくあります。見積書の数が増えてきた時に、間違いのないように作成年月日を確認しましょう。そして見積金額の有効期限や押印の有無も合わせてチェックしておきましょう。

(見積書サンプル/作成年月日、押印があるかどうかをチェックしましょう。)

・単価の記載があるか
使用する資材や購入する設備、作業費(人工)などそれぞれの項目に単価が記載されているか確認しましょう。もし単価の記載がなかったり、他社の見積もりと大きく違う場合がある場合などは確認してみましょう。

(見積書サンプル/使用資材の単価が記載されています。)

・型番の記載があるか
購入する設備や部材の商品名、メーカー型番まで記載されているかを確認しましょう。見積書の価格には発注手間や受取、送料なども含まれていることがほとんどですので、インターネットなどで調べた際に金額が大きく違う場合は確認してみてもよいかもしれません。

(見積書サンプル/使用設備の型番、価格が記載されています。)

基本的なポイントのほかに、工事内容や気になることがあれば担当者にどんどん確認していきましょう!

材工一式とは

専門業者からの見積書に「材工一式(ざいこういっしき)」「材工共(ざいこうとも)」などと記載されることがあります。これは、「材料費」+「施工費」を意味しています。
材工一式と記載されていて、内訳などに資材の品名や型番の記載が無い場合はしっかりと確認しておきましょう。資材の販売価格が分かれば、一式となっている総額からおおよその施工費を計算することができます。もし大きな価格差があるようなら、一度確認してもらうと良いでしょう。

工事の種類

見積書に記載される工事の種類は大きく下記のカテゴリーに分かれます(例えば仮設工事、土木工事、設備工事など)。それぞれの費用の特徴を押さえておきましょう。

1.仮設工事
工事を安全に施工するための足場やシート、仮設電気、仮設水道、仮設トイレの設置、清掃や片付けなど完成後に形として残らない工事のことです。費用として計上されるのは、足場費と養生(工事で傷がつかないようにシート等で保護する)費が多いです。

(仮設工事の様子)

2.解体工事
既存の建築物の取り壊し、撤去する工事のことです。建物の構造や部分、規模によりますが、建具をはずしたり、瓦を下ろしたり、柱や梁を分解したりと多岐に渡ります。費用は構造や広さ、内容により変動します。

3.建築工事
建築物を建てる工事になりますが、その種類は様々です。一般的に土木工事・左官工事・塗装工事・タイル工事・ガラス工事・内装工事・雑工事などがあり、それぞれの専門業者が施工します。費用も工事内容により変動します。

(左/左官工事 右/木工事)

4.設備工事
建築物の設備の工事になります。主に電気設備工事・給排水工事・ガス設備工事・衛生設備機器工事・空調設備工事などがあります。費用は主に材料費と工賃が計上されます。

5.家具工事
建具や造作家具にかかる工事になります。費用は発注する内容や材料、家具・大工職人のコストにより変動します。

6.諸経費
諸経費は現場経費(現場監督・管理費)と交通費が主になりますが、工務店によって様々です。不明点があれば都度確認してみるとよいでしょう。

見積書は実際にかかるコストになります。また、工事が始まってから変更や修正が出てきて、金額が上下する場合もありますので慎重にコスト管理をしながら進めていきましょう。少しでも気になることが出てきたら担当者に確認をしていくとよいでしょう。すまいるネットでも見積書を持参すれば、具体的な見方をアドバイスしてくれます。

振り返り(リノベーションをもっと身近に)

今回で全10回のリノベガイドも終わります。リノベーションが思っていた以上に簡単だ!今度やってみよう!と感じてもらえたら幸いです。

住居のリノベーションと聞くと大掛かりなイメージもありますが、例えば壁の色を変えたり、床を張り替えることは気軽にできますし、自分好みになることで愛着もグッと湧いてきます。


また、天井を取り、むき出しにすれば、開放感が出て、中古物件ならではの年月を経た構造(コンクリート、梁や柱など)が魅力的になることも多くあります。


住居の構造の仕組みが分かればBIG1LDKにしてみたり、子供の成長やライフスタイルに合わせて部屋を増やしたりすることもできます。

キッチン、浴室などの水回りは設備や配管にコストがかかる部分になりますが、ポイントを押さえて専門家と一緒に取り組むことで自由に作ることができます。内装では、電源スイッチや部屋の照明にこだわるだけでも印象は大きく変わります。

部分ごとに様々な工事が必要になり、DIYでできることも多いですが、専門家に依頼することも大切です。設計事務所や工務店への依頼や、見積もりをはじめとしたコスト管理もしっかり行いましょう。

リノベーションの何よりのメリットは、住む人が使いやすいように作っていけることです。結果的にそれぞれの個性、ライフスタイルが反映された住居になり、魅力も増してくるのだと思います。

現在、全国的に空き家増加問題が深刻化してきています。「既存の住居を活かして自分好みにリノベーションする」という視点から見ると、自分好みの素材(建物)を選ぶ選択肢が増えてくることになります。新築物件を探すことはもちろん、リノベーションを前提として中古物件を探すのも楽しいかもしれません。

専門家の力も借りながら、楽しく自分の住居を作りましょう!
さぁ!レッツリノベーション!

(リノベーション例/中古物件を購入してリノベーションをしよう!)

イラスト / Yosuke Yamauchi
画像 / みんなでつくろう編集部
図説 / みんなでつくろう編集部