今回は電気のことです。私たちの生活の中で電気はなくてはならないものです。主に発電所で作られた電気は、変電所や電柱・電線を通して私たちの家庭まで届いています。最終地点である物件(戸建やマンション)には分電盤という、電気を安全に使用するために必要な漏電遮断器(漏電ブレーカー)や配線用遮断器(安全ブレーカー)を1つにまとめた箱がついています。普段、分電盤を触ることは少ないですが、過去にブレーカーが落ちた経験がある人はそれなりにいるのではないでしょうか。

古い住宅は電気の容量が小さいことも多いため、事前に分電盤や電気のことを知っておくと、スムーズに対応ができます。また、天井や壁を取り払ったり、水回りなどを変更したりすると、今まで天井裏や壁の中に隠れていた電気の配線が出てきます。その配線をどうするかも、イメージ通りに仕上げるための大切なポイントになります。

電気の配線と同様に、照明器具の選択も仕上がりに大きく影響しますので、代表的な照明器具のタイプは覚えておくようにしましょう。その他に、クーラーやレンジを設置する時のポイントなどもしっかり押さえておきましょう。

分電盤について(引き込みアンペアを確認しておこう!)

分電盤を見ると引き込まれているアンペア数(電流の量)を確認することができます(分からない時は契約電気会社に確認しましょう)。契約しているアンペアの数値(30Aや40Aなど)が、電気機器を同時に使える最大の電気量になります。この数値をオーバーするとブレーカーが落ちます。頻繁にブレーカーが落ちる人は、同時に使用する電気製品を減らしてみたり、使用アンペアの少ない機器に交換すると良いでしょう。改善しない場合は契約している電気会社へ連絡して、契約アンペアの見直しをしてみましょう。

電圧のこと(100Vと200Vの違い)

電気のことを知っていくと、アンペアとは別にV(ボルト)という言葉もよく出てきます。これは電圧を意味しています。電圧が大きければ電気の量も多くなり、パワフルな機器が使用できます。一般家庭用の電気製品は主に100Vですが、業務用の機器やエアコンや床暖房、レンジなど200Vの製品もあります。
一般的な物件の中にあるコンセントは100Vが基本です。100Vのコンセントでは200Vの電気製品を使えません。ただ最近の物件は200V用のコンセントが付いていることが増えてきました。200V用のコンセントがない場合も電気工事を依頼すれば、切り替えや増設が可能です。

配線について

リノベーションの工程で出てきた電気の配線を隠すのか?見せるのか?見せる場合はどうするのか?なども大切なポイントです。全体のイメージに統一感が出るように、早い段階である程度決めてから工事を進めるとよいでしょう。

・露出するならモール?鉄管?
配線を露出させる場合、一般的にはモールに入れて壁に貼り付ける方法が多く、コストも安くすみます。さらに施工後にペイントするとより目立たなくなります。よりこだわりたい場合は、例えば鉄管の中に全ての配線を入れて、壁や天井に這わせる方法があります。こちらはコストもかかりますが、インダストリアルな雰囲気を演出することができます。
その他にも様々な配線の隠し方や活かし方があります。身近なお店や専門のウェブサイト、雑誌などいろいろ参考にしてみると良いでしょう。

照明器具あれこれ

(ライティングレールを使用した照明例)

・ライティングレール(ダクトレール)と引掛シーリングの違い
ライティングレール(ダクトレール)とは、照明をレールの上の好きな位置に取り付けできるパーツです。もともとは店舗用などで普及していましたが、最近は家庭用の簡易取付タイプも増え、一般的になりました。メリットは照明器具を自由な位置に取付可能で、明るさの調節や交換も簡単なことです。また、天井がすっきりして見た目が良くなることも人気の理由です。一方、デメリットとして、配線が丸見えになるため、配線の見え方、見せ方に注意が必要です。天井や壁にライティングレールを埋め込む方法もありますが、コストもかかるため予算管理が必要になります。

引掛シーリングは天井に取付、照明器具を固定する電源ソケットのことです。築年数の古い戸建てやマンションなどに多く普及しています。対応している照明器具も多く、価格も様々で選択肢が豊富です。デメリットとして、固定位置にしか照明器具を取り付けることができません。例えば部屋のレイアウト変更をして、照明位置を変えたい場合などは専門業者に依頼することになります。

・その他の照明器具(ブラケット / ダウンライト など)

(左:ブラケット照明/壁に直接取り付けるのが特徴 右:ダウンライト)

その他の照明器具として、主に「ブラケット」「ダウンライト」などがあります。ブラケットは壁に直接取り付ける照明器具です。リビングや吹き抜けの補助照明が必要な空間や廊下、階段、玄関ドア付近や勝手口等に用いられることが多いです。また個性的な演出もできるため、店舗などにも使われます。 ブラケットライトは器具本体のデザインも豊富です。

壁から出っ張って取り付けるので、人に当たって邪魔にならないように高さに気を付ける必要があります。また、取り付け位置や壁との距離によって光の当たり方や見え方が変わってきますので事前にしっかりと計画を立てましょう。

(ブラケット照明/浴室にも使うことができます。)

ダウンライトは、天井に埋め込んで取り付ける照明器具のうち、小型のものになります。天井に埋め込んで設置するため天井面がフラットになるという特徴があります。 商業施設や病院などでよく見かけます。スポットライトとしての演出や、メインの照明の補助的な役割として使われることが多いのが特徴です。

・電球タイプあれこれ(LED / 蛍光灯 / 白熱灯)
電球のタイプは主にLED、蛍光灯、白熱灯の3種類が選択肢としてあります。これからもLEDが選択肢のメインになると思いますので、従来の電球と合わせて特徴を覚えておきましょう。

スイッチやコンセントについて

(左/トグルスイッチ 右/アメリカンスイッチ)

電気のスイッチやコンセントは毎日使うものです。部屋のアクセントにもなりますので、こだわってみても良いのではないでしょうか。一般的な電気のオンオフスイッチもトグルスイッチやアメリカンスイッチをはじめ、アンティークやセンサー付きのものなど様々なタイプがあります。小さな部分ですが、作りたい部屋のイメージに合わせて選択するとグッと雰囲気が良くなります。また、新たにコンセントを設置や移動する場合、部屋の用途や電気機器の特徴にあわせて、設置位置を計画するようにしましょう。例えば、キッチンなどで立って使用する機器のコンセントは高さ120cm〜140cmあたりが使い勝手が良かったりします。

エアコンを設置するなら

・専用回路にしましょう
エアコン(電子レンジなども)などの消費電力の多い電気製品は専用回路にしましょう。専用回路にしないと負荷がかかり、ブレーカーが頻繁に落ちたりします。専用回線の増設は資格が必要になりますので、専門業者に依頼するようにしましょう。

エアコンを設置する場合は電源の他に、大きく2種類の配管が必要になります。一つは冷媒管、もう一つはドレン管と言います。冷媒管は室外の空調機と繋がり、ドレン管はエアコンから出る水分の排水の役割になります。特にドレン管は水が流れていくので、個人で配管をしていく場合には必ず勾配を付けるようにしましょう。難しい場合は無理をせず、専門業者に依頼しましょう。


いかがでしたでしょうか?
天井や壁などを工事すると、必ず電気の配線や配管の処理もセットで考えなくてはいけません。しっかりポイントを押さえておきましょう。
次回vol9は「業者への見積もりの仕方」です!お楽しみに!


イラスト / Yosuke Yamauchi
画像 / みんなでつくろう編集部
図説 / みんなでつくろう編集部