今回は「壁」について説明していきます。
前回の天井に続いて、壁もリノベーションの際の重要な要素です。壁に塗装をして印象を変えたり、壁を抜いて広くして使いやすくしてみませんか?

壁の仕上げあれこれ

壁紙の上からペイントしているところ。

はじめに壁の仕上げについて説明していきます。
仕上げは一般的に壁下地の上に、塗料や漆喰を塗ったり、クロスを貼って仕上げを行います。

まずは下地の状態を判断しましょう。下地が構造むきだし(コンクリートや木材)の場合はそのまま塗装すると、下地の表面が凸凹のため雰囲気や味が出ます。次に石膏ボードやベニヤ板を貼った上から仕上げをする場合、ボードとボードの隙間やビスの穴をパテで埋めることで塗装面が平滑になり、きれいな仕上りになります。ベニヤ板の場合はシミやアクが出てくることがあるため、シーラーを塗ったあとに塗装します。
塗装ではなく、クロスやタイルを貼る場合もパテ埋めや目的にあった下地調整をしましょう。

仕上げの種類は大きく分けて、「塗装」「漆喰・珪藻土」「クロス貼り」があります。
「塗装」は専用の塗料を刷毛やローラーで塗っていきます。色や機能も豊富にあり、気軽に作業ができることがメリットです。色に悩んだりする場合は「白」に塗るだけでも一気に雰囲気が変わります。

ビフォーアフター例)壁を一部取り払い、白くペイント。広く、明るくなった。(上:改修前 下:改修後)

「漆喰・珪藻土」は自然素材で、調温・調湿機能があり、健康にもよいと言われています。下地調整は特に必要ない「漆喰・珪藻土」の材料もあります。ただ左官の技術が必要となりますので、経験者にアドバイスを求めるか、事前に練習をした上で本番に取り組むのをオススメします。

漆喰塗装の様子。パテ処理された石膏ボードの上に塗っていく。

「クロス貼り」は様々なシート状のクロスを壁下地に貼っていきます。選択肢が豊富にあり、作業も比較的簡単でコストを抑えやすいのが特徴です。

それぞれの仕上げにメリットデメリットがありますが、比較的作業もしやすく、友人知人と一緒に取り組みやすい「塗装」がおすすめです。自分たちで作業することで、建物への愛着も湧いて来ると思います。結果的にコストや時間を抑えることもできたりします。「漆喰・珪藻土」はちょっと難易度がUPしますが、DIYでも取り組めます。

自分で塗るには?

仕上げの作業は個人でも気軽にチャレンジできます。その際、失敗しないための一番のコツは「マスキング」です。下準備として、このマスキング作業を丁寧に行うことで仕上がりが良くなります。もし失敗した場合もやり直しや修復がしやすくなります。(詳しくはこちらの記事で紹介しています。)

マスキングを丁寧に行うとミスが減り、仕上がりも良くなります。

断熱のこと

壁の仕上げ(見た目の部分)以外に、断熱対策も重要なポイントです。せっかく希望通りの仕上がりになっても、結露したり、空調が効かず、後から補修作業するのは大変です。

参考例)左は結露によって剥がれた壁塗装。右はコンクリートブロックの上に、吸水性のある結露防止塗料を塗装。

実際の作業として、壁がボード貼の場合は、石膏ボードの内側に断熱材を詰めていくことがほとんどです。ただ壁の内側が結露してしまう「内部結露」の恐れもありますので、防湿シートを施工する場合もあります。その他に、断熱や調湿機能がある塗料やクロスも市販されていますので、仕上げのみでの対策も気軽にできます。ただ、建物の周辺環境(立地や隣の建物との間隔、方角など)も影響しますので、よく分からない場合は専門家に相談することをおすすめします。

壁を抜いてみよう

先述の仕上げ作業の前段階の話になりますが、古い物件で、使い勝手が悪い間取りの為、壁を取って部屋を広くしたい時はどうすればよいでしょうか?何も確認しないまま取ってしまうと、建物そのものの重さに耐えられなくなり、建物が歪んでしまったり、倒壊してしまう可能性もでてきます。

ビフォーアフター例)壁を取り払い、BIG1LDKに。

壁を抜く場合は、取り払う壁が構造を担っている壁なのか、または構造とは関係の無い壁かどうかを事前に必ず確認しましょう。前者の構造は「壁式構造」、後者は「ラーメン構造」と言います。

壁式構造とラーメン構造(鉄筋コンクリート造の場合)

壁式構造の場合は、壁そのものが構造の一部のため、壁を抜くことができません。ラーメン構造の場合は柱と梁部分以外は抜くことができますが、専門家に必ずアドバイスをもらってから行うようにしましょう。

壁の下地や構造はどうなっている?

そもそも壁の中(壁下地)ってどうなっているのでしょうか?中古物件の場合、壁下地はコンクリートや木の構造に石膏ボードが貼られていることがほとんどです。その上に塗装されていたり、クロスやタイルなどが貼られています。石膏ボードを剥がしてみると下の画像のようになっています。

壁下地の一例)木造物件で石膏ボードを剥がした状態。

石膏ボードを貼るための「間柱(まばしら)」「胴縁(どうぶち)」が見えます。
上記は木造物件の壁下地(ボード貼工法)の一例ですが、他の工法として、ボンドを使って、コンクリート面などにボードを下地なしに直接貼る「GL工法」や、コンクリートの表面にそのままビニールクロスを貼る「直貼り」といったものがあります。

壁下地の一例)鉄筋コンクリート物件でGL工法で貼られたボードを剥がした状態。

現在はボード貼がほとんどで、直貼りやGL工法は少し昔の工法になってきています。

壁に棚を付けるには

例えば、壁に棚を付ける際、壁下地がボード貼の場合は間柱や胴縁に棚受けのビスを打つようにしましょう。(棚の重量は当然下にかかりますので、間柱に打つ方が無難です。)ただ、実際の作業時は、塗装された石膏ボードの上から、直接見えない間柱を探すことになります。壁をノックするような感じで叩き、音の変化で探すことが多いです。(専用の道具もあります。)

壁下地がコンクリートの場合には、専用のコンクリートビスを使用したり、アンカーを打つなどの方法で取り付けます。この場合は少し難易度が上がりますので、専門家に相談するとよいでしょう。


いかがでしょうか。「壁」と一言で言っても、仕上げの他にも様々な要素があります。全てをきっちり覚える必要はありませんが、ポイントを理解して、塗装は気分転換!くらいにできるときっと楽しいと思います。

次回vol4は「床」の説明です。お楽しみに!

イラスト / Yosuke Yamauchi
画像 / みんなでつくろう編集部(2枚目:中原あずさ(majakka) / 6枚目:フロッグハウス)
図説 / みんなでつくろう編集部