みんなでつくろう

築100年の古民家をリノベーションした事務所のお披露目会開催(4月4日11:00~15:00)

この度、Bokk Jambaarさんが、神戸市の空き家対策+リノベ補助金事業を受けて、築100年の古民家をリノベーションした事務所を4月4日(日)オープンすることになりました!
古民家ならではのリノベ苦労秘話もありますが、古き良き日本の「和」と、洋ならぬホットなアフリカの「陽」が融合した、Bokk Jambaarの新事務所の完成です。
当日はセネガルのパネル展示、アフリカ布で作った雑貨の販売、バオバブの木の実のジュース(無料)がふるまわれます。
訪れてみてはいかがでしょう。

【住所】神戸市兵庫区矢部町38-20
【アクセス】最寄り駅 : 市営地下鉄の大倉山駅より徒歩約15分(坂道を登ります!)
最寄りバス停 : 市営バス(7番)五宮町下車すぐ
※経路がわかりにくい場合は、こちら にご連絡ください。

3/27 いよいよ今週土曜日、開催です!! DIT(Do It Together)!! アフリカ×古民家リノベーション@神戸

【新事務所オープン記念☆参加費無料第二弾オンラインセミナー開催!!】
この度、Bokk Jambaarは神戸市の空き家対策+リノベ補助金事業を受けて、築100年の古民家をリノベーションした事務所を4月4日(日)オープンすることになりました!!
古民家ならではのリノベ苦労秘話もありますが、古き良き日本の「和」と、洋ならぬホットなアフリカの「陽」が融合した、Bokk Jambaarの新事務所の完成です。
今回、そのプレオープンイベントとして第二弾オンラインセミナーを開催します。これまでのBokk Jambaarの活動と、4月からスタートするJICA草の根支援型委託事業、神戸市兵庫区にある築100年の古民家をリノベーションして作った事務所誕生秘話などなど、皆さまとシェアさせていただければと思います。ぜひとも、ご参加ください!!

【今回のセミナーはこんな方にお勧めです】
・古民家リノベーションに興味のある方
・セネガル・アフリカ・海外に興味のある方
・協力隊に参加してみたい方/元隊員の方
・国際協力に関心のある方
・アフリカの子どもや教育の支援に関心のある方
・アフリカに関わるボランティアをしたい方
・NGOのファンドレイジングに関心のある方
・NGO/NPO等の関係者

【このイベントでこんなことが分かる(抜粋)】
・小学校教室建設プロジェクト/Readyfor(クラウドファンディング)
・女性グループの裁縫技術向上プロジェクト/JICA基金
・学校給食プロジェクト/アフリカ協会 助成金

・【2021年4月スタート‼︎】マラリア予防啓発プロジェクト/JICA草の根支援型委託事業
・築100年の古民家がBokk Jambaarの新事務所になるまでの軌跡

申込みはpeatixか、こちらのGoogleフォームよりお願いします!
peatixはこちら
googleフォームはこちら
今後、定期的にテーマを変えてオンラインセミナーを開催予定ですので、お楽しみに!!

賑わいが消えつつある街、長田区丸山エリアに吹きはじめた風

かつては神戸の奥座敷と呼ばれた丸山エリアのいま

長田区の北側に位置する丸山エリアは山並みに沿ってすり鉢状の斜面に住宅が並び、路地や急坂も多いのが特徴だ。昭和初期の頃は「神戸の奥座敷」と呼ばれ、緑豊かな別荘地として人気で遊園地や料理旅館などもあったという。戦後は造船関係の仕事や町工場のある南側へ通う人たちが多く住み、賑わいをみせていた。

(山の斜面に沿って住宅が立ち並ぶ)

それから時が経ち、ここも全国の郊外エリアと同じく高齢化や過疎化が進み、2015年の国勢調査によると丸山地区の人口は1万457人と、20年前から5375人(34%)も減少している。それにともない空き家や放置された廃屋も増えている。

一般的には空き家が増えてくると不動産価格が下落したり、賃貸物件の賃料も安くなる。その影響からか治安が悪化するケースもあり、(実際の治安の良し悪しには関わらず)そのイメージによってより人が集まらないという悪循環が生まれてしまう。この丸山エリアも同じような状況に陥っている。

そういったことは往々にして会話などでネガティブな面として取り上げられるが、視点を変えるとそうでもない。丸山エリアにはその歴史的背景からかDIYやリノベーションの素材となるような趣のある建物も残っていて、そういった物件がとにかく安く買えるチャンスがあるのだ。

駅近の集落で吹きはじめた風

(丸山駅前)

神戸電鉄線丸山駅を降り、改札出てすぐの路地を入っていくと崖地に沿って住居が数棟建つ集落が現れる。斜面を降りながら進んでいくと、目に入る建物のほとんどは老朽化が進み廃屋となっていて、住人もほとんどいないようだ。人の気配がないだけに路地を進んでいくのをためらう人もいるかもしれない。ところが、この集落の中で新しい風が吹き始めていると聞き取材に伺った。

(駅近にこんな集落があるなんて)
(路地沿いに空き家や廃屋が並ぶ)

アーティストや作る人のための場所(村)を目指して

崖に沿って降りながら集落に入る。路地沿いに並ぶいくつかの空き家と廃屋を通り過ぎた先、集落の北側エリアがその場所ということだった。訪れた時は複数件ある物件のひとつで改修作業が行われていた。

ここで廃屋や古家の改修作業を行なっているのは西村周治さんたち。西村さんは市内の廃屋を改修して自ら住んだり、シェアハウスにして運営するなどの活動をしている。(以前の取材記事はこちら

(西村周治さん)

西村さん曰く、「この集落はアーティストの人たちが住みながら改修したり、創作活動が行える場所(村)になればいいと思っている。」とのこと。

現在のプロジェクト参加者(西村さん曰く「村人」)たちは、主に兵庫区和田岬でカルチア食堂を運営している仲島義人さん、会社員の平井陽さん(仲島さん、平井さんの記事はこちら)、同じく兵庫区の建築事務所に勤務しながら丸山に住んでいる上野天陽さん、秋田県から移住予定のアーティスト中村邦生さんらがいる。

彼らによって空き家・廃屋群はそれぞれの住居やアトリエ、コミニュティスペースなどに生まれ変わる予定だ。

有機的に集まってDIY

参加者たちは仕事の合間に集まって作業を行なっている。取材当日もこの集落に新たに居住予定のアーティストがやってきて、居住予定の物件の改修作業や片付けをしていた。物件の改修には解体で出た廃材を再利用しながら、基本的にDIYで作業をしている。

(みんなで相談しながら作業を進める、左から西村さん、仲島さん、上野さん)

(解体した材料も再利用)
(自分たちで解体した壁)
(つくることが好きな人たちが集まっている)

それぞれが自分の都合の良い時に集まって作業を進めている。彼らの活動に興味を持った人も見学がてら作業に参加したり、作業途中の現場で撮影が行われたりと改修作業中も自由な空気感がある。

取材を終えて

人が少なくなり、空き家ばかりの小さな集落が新たな場所に生まれ変わろうとしている。取材時点ではまだまだ始まったばかり、これからここにどんな風景が立ち上がってくるのだろうか。

(プロジェクトは始まったばかり)

「何かを楽しんでいるところに熱量は集まるし、楽しそうなところに人は集まってくる。」といった言葉をどこかで聞いたことがあるが、ここがまさにそうなのだと感じた。空き家の再活用の事例としては、一般的には不人気なエリア、改修も難しいような廃屋群…と、なかなかチャレンジするにはハードルが高い。だからこそ大きな変化を生み出せるポテンシャルも同時に感じる。

長田区の北で動き始めたこのプロジェクト、もし興味がある人は一度コンタクトをとってみてはどうだろう。(まだまだ村人募集中とのこと。)

暗いシャッター通りに差しこむ畑の光「いちばたけ」

シャッター通りとなっている灘中央市場

水道筋界隈は8つの商店街と4つの市場が東西に連なっており、神戸有数の商業地でいつも多くの人で賑わうエリア。その中心辺り、灘センター商店街と灘中央筋商店街の間にYの字型に東西に伸びる通りが灘中央市場だ。大正14年にできた歴史ある市場は、市場内に一歩入ると昭和の世界にタイムスリップしたかのよう。ただ、メインの水道筋商店街の賑わいとは打って変わり、シャッターが目立つ通りとなっている。

(メインの水道筋商店街は多くの人で賑わう)
(灘中央市場の入り口)

空き区画に畑

灘中央市場に入り、通りを進んでいくとポツンと明るい区画が目に入る。ここが「いちばたけ」だ。覗いてみるとプランターが並び、数組の家族が楽しそうに収穫をしている。この日は定期的におこなっている農作業や収穫ができる開放イベントを行っているとのことだった。

(薄暗い中に光が差し込む)
(日差しの中プランターで作物が育てられていた)

いちばたけのはじまり

いちばたけを運営しているのは「チームカルタス」。きっかけは約2年ほど前。もともとは神戸市職員の担当者として水道筋界隈に関わっていたという佐藤直雅さん(2021年現在は別部署へ異動)。建築職として密集市街地の改善に向けたまちづくりを担当されており、まちのことを知っていくうちに、再開発を行い、安全にしていくことも必要と感じる一方で魅力とポテンシャルに惹きつけられ、仕事ではできないプライベートの面から今あるものを活かしつつ何かしたいと思い始めたとのこと。

(いちばたけになった空き区画)

2018年秋、丸山公也さん(神戸市農業職)と職場の会議で知り合った。彼もこの水道筋界隈で生まれ育ち、愛着のあるこの地を盛り上げたいという気持ちを持っていたことから彼の強みを生かして「畑」をすることになった。2019年春に「チームカルタス」結成。市場の中に畑を作る構想の具体化を開始した。

また、元々この地域にまちづくりやコミュニティづくりに携わっていた坂本友里恵さんは、佐藤さんと丸山さんの想いに賛同して、畑づくりに参画した。自身の職能である「企画運営」の力を生かし、3人がチームとなってこのプロジェクトを進めてきた。4月にチームを作り、数ヶ月後には作物を収穫できるまで進んだのは3人が力を合わせ、また畑整備に関わるまちのみんなと共に作り上げて来れたからだという。

みんなとつくった特徴的なエピソードがある。チームメンバーと市場内の精肉店の方とで、畑を作るということで雑談をしていた時に、「市場の畑で”いちばたけ”はどうか」と一言。すぐにこの畑の名前は「いちばたけ」に決まった。

いちばたけの整備と同時並行で、賃貸物件として出ていたいちばたけ前の空き店舗の1区画を借り、そこを仲間たちとDIYで改修した。元々DIYを始めたきっかけは、同じ職場の仲間達と「コアクション」というチームを作り、プロに実践的な建築を学びながらDIYの方法を教わったことにある(記事はこちら)。そして佐藤さんは2Fに住みながら、1Fをシェアスペース”いちま”として運用をはじめた。「このいちまは、DIYに関わってくれたメンバーを中心に利用が始まったが、まだまだ地域の方に活用してもらうには課題もたくさんある。」とのこと。

(みんなでDIYを行い扉が完成したときの様子)
(1Fのシェアスペース「いちま」)

メンバーと一緒に手探りでいちばたけを作っていくうちに、近所の方や子供たちがだんだん出入りをしたり、前を通る人が立ち止まったり利用してくれるようになった。

普段は近所の方と一緒に作物を作り、収穫をしている。1ヶ月に1回程度「開放Day」というイベントを行っているようだ。普段の野菜のお世話も、いちばたけにきてくれた人たちが水をやったり、様子を見にきたりしているとのことだった。取材の際にはセロリや菊菜、ネギ、小松菜などが立派にできていた。運営メンバーのひとり、丸山さんは仕事柄農業の知識があり、いちばたけを使ってくれている人たちに作り方や食べ方を教えている。作る作物などはチームで相談しながら決めているとのことだった。

(プランターでもさまざまな野菜を育てることができる)
(みつば)

いちばたけがもたらす新しい種

活動を始めて約2年、近隣の方もこれらの活動に興味を持つようになり、となりの空き店舗オーナーからも「この地域のために貢献したい」「うちの場所も使って一緒に何かできないか」とありがたい相談も出てきたそう。今後の活動に関して伺うと、繋がり始めたコミュニティを大切にしながら、いちばたけ・いちまをこれからも活用できるようにしていくための計画を思案中とのことだった。

(地域の人たちにこれからも使ってもらえるように思案中)

取材を終えて、アーバンファーミングの可能性
ほとんどの店がシャッターを降ろし、活気が無くなった商店街は神戸に関わらず全国的にもたくさんある。そんな中でも小さな1区画が変わるだけで、人が集まり、コミュニケーションが生まれ、それを見た近隣の物件オーナーたちが「何か協力できないか?」と声をかけてくれる。地域が活性化するということはこういった小さな動きが「種」となって、成長していき、住民にとってより暮らしやすいエリアになっていくことではないかと思う。新しくつくるのではなく今あるものを活用する点も広義のリノベーション事例だとも感じた。

また、都市の中での食を通した新しい試みでもある「アーバンファーミング」とは街の中での農の活動のこと。自宅の庭やベランダ、ビルの屋上や空地を活用して野菜や果物を作る。そんなアーバンファーミングにチャレンジする人たちが少しづつ増えてきている。今回取材させていただいたいちばたけもその一例だ。アーバンファーミングは自然との触れ合いはもちろん、農作業を通したコミュニケーションでもあり、世代などの垣根を超えて会話が生まれる面白い試みだなと感じた。

いちばたけはいつでも自由にはいれるとのこと。興味を持った方は、是非とも足を運んで現地の雰囲気を感じて欲しい。


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みんなでつくろう”ファーマーズマーケット” ブース出店振り返り

東遊園地にて毎週土曜日に開催されている「ファーマーズマーケット」。そちらに2020年の9月から隔週で「みんなでつくろう」のブース出店をしています。主に「町を耕す家づくりガイド」の紹介、配布やリノベーションやDIY相談を行ってきました。

出店のたびに空き家のことやDIYのこと、補助金のことなどで声をかけていただきありがとうございました。お話を聞く中で同じ質問を伺うことがたびたびありましたので、多かった質問と回答をこちらにまとめてみようと思います。(当ホームページの過去の記事も参考にしていただけるようリンクも貼っておきます。)

1.よい工務店を紹介してほしい、工事費用が高そう。

リノベーションを考えている方によく聞かれました。工務店の探し方はいろいろありますが身近な方の紹介が難しい場合はインターネットで検索してみましょう。できれば地元の工務店のほうが何か不具合があった場合も対応してもらいやすいのではないかと思います。工事費用については何社か見積もりを依頼してみたり、工事内容を工務店と相談して調整していくとよいかと思います。下記リンクもご参考ください。

リノベガイドvol.9 リノベーションを専門業者に任せる
リノベガイドvol.10 見積書の内容について

2.補助金の対象は?

「神戸市子育て支援住宅取得補助制度」のことでご相談の中で多く聞かれました。対象となる世帯は「中学生以下の子供がいる世帯または中古住宅の売買契約締結日時点で夫、妻ともに39歳以下である世帯」になります。補助額は物件や市外からの移転有無によって変わってきますので、下記詳細や、活用事例を参考にしてみてください。

神戸市子育て支援住宅取得補助制度
神戸市子育て支援住宅取得補助制度 活用事例インタビュー

3.空き家はどうやって見つけるの?

物件の見つけ方も何人かの方にご相談されました。こちらは気になるエリアの不動産会社と仲良くなるのが一番ですが、エリアを歩いてみるのも周辺の環境やお店、雰囲気などがわかるのでおすすめです。

4.DIYは興味あるけど大変では?

正直なところDIYは大変です。肉体労働ですし失敗もあります。ただチャレンジをすることで家のことがよりわかるようになったり、失敗してもリカバリーの方法が分かったりとメリットもたくさんあります。何より自分の好きなように作ることができるので愛着が湧くのが一番ではないでしょうか。DIYを始める一番のポイントは、「えいや!と始めてしまうこと」だと思います。不明点があれば調べたり専門家に聞いたりすると大体はなんとかなったりします。下記シリーズ記事や冊子も参考にしてみてください。

リノベガイド:vol.1 みんなでつくろう「リノベガイド」はじめます!
[リノベガイド実践編] 前編
「町を耕す家づくりガイド」ができました!

●2021年も出店しています!

2021年も下記スケジュールで出店していますので、お気軽にお声がけください!

出店日
1/23(土)
2/6(土)、20(土)
3/ 6(土)
時間:10:00-13:00
場所:東遊園地

お待ちしています!
マーケットの様子

「みんなでつくろう」空き家・空き地活用事例見学ツアー(兵庫区編) イベントレポート

兵庫区を町歩き(1件目のカルチア食堂の入るビル)

先日(11月22日)に開催された「空き家・空き地活用事例見学ツアー(兵庫区編)」のイベントは多数の応募をいただきました(当初の定員をオーバーしつつ結果的に10名になりました)、ありがとうございます!

参加されたのは現在物件を所有している大家さんの方や、これから物件を活用してみたい方、ローカルエリアの活性化に携わっている方、これから事業にチャレンジするために物件を探している方など今回の趣旨に合った方々。当日は兵庫区で町歩きをしながら、主に古ビルを活用している事例を見て回りました。各ビルオーナーのサービス精神のおかげもあり、楽しくフレンドリーなイベントになったと思います。それでは当日の様子を振り返ってみます。

●1件目 カルチア食堂

1件目「カルチア食堂」のオーナー仲島さん(左から2人目)の話を聞く

和田岬で仲間たちと古ビルをリノベーションし、1Fで飲食店「カルチア食堂」を運営している仲島さん。自分たちで改装をしたお店で話を伺いました。下町ならでは?の安い賃料で借りたビルとのことですが、当初は普通に改装されていてきれいなビルだったそう。

仲島さんたちは、屋台からインスピレーションを得て波板を天井に張り付けたり、ご自身も絵を描いたり、仲間たちの制作物を飾ったりしてお店を作っていったとのこと。なんとDIYは未経験だったそうです。さらに隣接しているビルも安く借りて自分たちで改装。現在は友人が住んでいるとのこと。そのほかにエリアとしての和田岬周辺の下町の魅力などもお話ししていただけました。

仲島さんたちがDIYで作った店内を見学

●町歩き

地元の老人や子供たちが集う駄菓子屋を見学

カルチア食堂のあとは周辺を散策しながら西出町へと向かいます。近所の子供や老人たちが集まる駄菓子屋があったり、DIYで家づくりをされている方とも偶然話ができたり、途中で寄ったお菓子屋さんのご主人と会話が弾んだりと下町感を随所に感じられました。味わいのある物件も点在していて足を止める参加者の方もおられました。

レトロな商店街を歩く
かわいい銭湯
レトロな物件を見ながら港エリアへ
兵庫津エリアを歩き
西出町の路地裏
西出町の路地裏その2
下町の商店街を散策

●2件目 ニューヤスダヤビル

ニューヤスダヤビル(手前から4件目、赤いファサードのビル)

1Fにある人気のスパイスカレー屋「ニューヤスダヤ」で昼食をいただき、ビルオーナーの平井さんのお話を伺いました。平井さんは1件目の仲島さんと一緒にカルチア食堂を作った方です。その後、「もっと自由に改装できる物件が欲しい、賃貸では自由度が低いので売買で。」と思うようになり、物件を探し始めたとのこと。そしてこのビルが売却予定と知り、購入。

このビルの使い方は1Fは店舗(カレー屋)ですが、2Fと3Fは友人とシェアして住んだり、アートフェアの会場(!)になったりと様々。住居部分の内装も工事途中?と思いそうな部分も多くありましたが平井さん曰く「ずっと手を加えていくので完成はない」そうです。

平井さんは企業に勤める会社員という点も刺激になった参加者もいたのではないでしょうか。イベント終了後も平井さんと話し込んでいる参加の方もおられました。

オーナー平井さん(真ん中)のビル2F住居部分を見学

●3件目 新中央ビル

3件目「新中央ビル」オーナー西村さん(一番右)のお話を聞く

続いて近所にある「新中央ビル」へ移動。こちらのオーナーは古家や廃屋を再生させる活動をしている西村さんの物件です。1Fには「PORT CYCLE」という自転車屋さんが入居、こちらも西村さんと店主がDIYで作り上げたお店。2F3Fは住居として使用、先程のビルオーナーである平井さんが入居したばかりとのこと。

改装時の雨漏りの修繕に苦労した話やビル名の由来(近所にあった「中央ビル」が開発のため解体、このエリアや中央ビルに思い入れのあった西村さんは自身のビルに「新中央ビル」と命名。)などのお話をしていただけました。現在の入居者である平井さんのご好意で入居中の部屋も見学させていただけました。

1Fに入居する「PORT CYCLE」さんも見学。こちらもDIYで作ったお店。

●イベントを終えて

お話を伺った三人の活動はDIYを中心にしてコストを抑えつつ、自分たちが楽しく、心地よくあるためにこういった古ビル物件を選んでいるのがポイントだと思います。各ビルともに個性的でDIYの雰囲気がたっぷりなところが魅力的でした。また、町歩きでは下町ならではの空気感も参加者の方に楽しんでいただけたようでよかったです。

新築や新しい物件も魅力的ですが、古ビルや古戸建てといった空き家は全国的にもこれからも増え続けていきます。より自分の思うように作りたい!町に開放する場所を作ってみたい!という人は彼らのような物件の使い方や作り方は参考になるのではないでしょうか。

【募集終了】「みんなでつくろう」空き家・空き地活用事例見学ツアー(兵庫区編)

★募集終了しました。多数のお問い合わせを頂きありがとうございました!★

(兵庫区西出町にある「ニューヤスダヤ」。ビルオーナー自らDIYで作ったお店。)

空き家、空き地を使って町を耕そう!
神戸の町を歩きながら、空き家・空きビルを活用している人を訪問していろいろ話を聞きに行きませんか?

神戸市の空き家活用サイト「みんなでつくろう」ではこれまで、空き家を活用して町を耕す人々の事例や、DIY、リノベーションの方法などをご紹介してきました。サイト上の記事や冊子を読むとなんだか楽しそうに見えますが、初めて挑戦してみたいという方にとっては、「いざ行動に移すとなるとハードルを感じる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

百聞は一見にしかず。実際に、空き家・空きビルなどを活用して町に開いている人の物件を巡ったり、その仕掛け人と話をすることで、空き家の活用事例や物件の探し方を体験していただく機会を設けられたらと考えてきました。

そこでこの度、「活用事例見学」ツアーを企画!

「DIYやリノベーションで自分らしい家をつくりたい」
「空き家を活用して、町に開いた使い方をしたい」
「初心者でもDIYってできるの?」
「素敵なお店や家を作っている人はどうやって物件を見つけたのだろう?」
「この建物はボロボロだけどリノベーションできる?」

そんな思いをお持ちの方に、一歩を踏み出すきっかけとしての町歩きになればと思います。

(ニューヤスダヤ近くの相生町、中央ビルにオープンした「PORT CYCLE」。こちらもオーナーや店主がDIY。)

<ツアー詳細>

「活用事例物件を見学するツアー(兵庫区)」

(和田岬「カルチア食堂」。こちらもオーナーがDIYで作ったお店。)

兵庫区を中心にぶらぶらと歩きながら、空き家を活用して町に開いてきた人を訪問します。カルチア食堂、ニューヤスダヤ、新中央ビルなどを訪問。和田岬からスタートして兵庫駅の南側、松原エリアを通りつつ海側へ移動、そのまま東出町を散策しながら西出町へのルートを予定しています。

参考記事:街を耕すビル
参考記事:サラリーマンオーナーが暮らしながら作る元居酒屋の自由なビル

日時:2020年11月22日(日) 11:00~16:00
11:00 集合(和田岬駅)
11:10 カルチア食堂見学
・物件見学
・オーナー仲島さんの話

12:15 移動(徒歩)
・東出町へ向かって町歩き
・食事

13:30 ニューヤスダヤ
・見学
・オーナー平井さんの話

14:30 新中央ビル
・自転車屋PORT 見学
・オーナー西村さんの話

16:00 解散

■スケジュール

日時:2020年11月22日(日) 11:00~16:00
集合場所:市営地下鉄海岸線「和田岬」駅

・持ち物:歩きやすい服装、飲み物
・料金:無料
・定員:最大8人
・対象者:大家業に興味のある人 / 空き家を使って事業にチャレンジしたい人 / DIYに興味のある人

ご参加お待ちしております!

お申し込みフォーム

お申し込みフォームはこちら
※お問い合わせ欄に「みんなでつくろう 空き家・空き地活用事例見学ツアー希望」とご記入ください。

「町を耕す家づくりガイド」ができました!

町を耕す家づくりガイドの表紙

本サイトで連載していた「リノベーション事例」や「リノベガイド」などの内容を再編集し、空き家、空き地活用のガイドブック「町を耕す家づくりガイド」ができました。

DIYやリノベーションがずいぶん浸透してきましたが、実際に初心者がDIYをしたり工務店に依頼することは分からないことだらけ。そもそもDIYやリノベーションに向いている建物を選ぶことも難しかったりします。

素敵なお店や家を作っている人はどうやって物件を見つけたのだろう?
DIYやリノベーションをしたと聞いたけど初心者にもできるの?
この建物はボロボロだけどリノベーションできる?
予算は限られているけどDIYで家を改修してみたい!

そういった疑問の解決方法がまとまったものがありそうで…ない。ということで作りました!本誌では、空き家の活用や改装を考えている人たちに、

1.「多様性を持つ住まい、町にひらく建物の使い方」ってなんだろう?
2.「物件の見つけ方」はどうやるのかいいのか?
3.「物件購入時に気をつけるポイント」はどんなところ?
4.「建物を直すDIYのやり方」ってどうしたらいいのだろう?

というところをご紹介しています。

建物を町に開く使い方の紹介
物件の探し方についても書かれています
建物の基本知識やDIYのやり方が紹介されています

家づくり、お店づくり、場所作りはDIYやリノベーションを上手く取り入れることで解決できることが増えます。この冊子を片手に場所や物件探しに始まり、みんなでわいわい作ったり、工務店と協力して理想の家づくり、場所作りをしたりしてもらえるとうれしいです。

さらに、神戸市ではリノベーションに対する補助金「神戸市子育て支援住宅取得補助制度」がありますので、中古住宅を購入、リノベーションを検討されている方はこちらも活用してみてはいかがでしょうか。(詳しくはこちら)

冊子は神戸市内の下記店舗にてご覧いただけます。(10/19現在 / 随時更新)
ぜひ手にとってみてください!

また、東遊園地で毎週開催しているファーマーズマーケットでも「みんなでつくろう」相談ブースを設置していますので、こちらで冊子をご覧いただけます。(ファーマーズマーケット2020秋シーズンは10/3スタート / 相談ブースは10/10からの隔週予定です。)※詳しくはファーマーズマーケットやみんなでつくろうのインスタグラムで発信しています。

冊子設置店舗・施設一覧(随時更新)—————————

■中央区
・KIITO
・FARMSTAND
・レピス
・KITSUNE BOOK&ART
・CORELI
・天昇堂
・MAKE SHIFT
・堀江座
・IN THA DOOR BREWING (二宮)
・IN THA DOOR BREWING (ポートタワー)
・リヒト

■灘区
・ゲストハウスマヤ
・マジカルファニチャー

■北区
・淡河本陣
・きもり
・あかい工房

■長田区
・すまいるネット
・ニューヤスダヤ
・MAR_U
・マツモトコーヒー
・PORT

■須磨区
・若宮食堂
・小宇宙食堂

■垂水区
・旧グッゲンハイム邸
・シオヤチョコレート
・フロッグハウス

■西区
・ナチュラリズムファーム

■尼崎
・HELLOWS(美容室)
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神戸市子育て支援住宅取得補助制度 活用事例インタビュー

1組目のE様宅(写真提供:G-FLAT株式会社)

リノベーションに補助金を使おう!ということで神戸市が実施している「子育て支援住宅取得補助制度」を実際に活用して、リノベーションを行った2組の方にインタビューを行いました。(1組は電話インタビュー)

実際に活用した箇所やリノベーション後の住み心地や使い方、実際の申請手続きについてなどぜひ参考にしてみてください。

●1組目(訪問インタビュー)
E様(東灘区)/ご夫婦+お子様2人世帯
補助金の改修内容:戸建て住宅の2F全体をLDKに改修

2F施工前(写真提供:G-FLAT株式会社)
2F施工後(写真提供:G-FLAT株式会社)
2Fパントリー 左:施工前 右:施工後(写真提供:G-FLAT株式会社)

Q.どのようなリノベーションを行いましたか?
ー中古の戸建て住宅(3階建)を購入、フルリノベーションを行いました。

Q.市の補助制度をどこで知りましたか?
ー物件探しの段階で知りました。リノベーション前提で考えていた中、リノベーション会社の説明会かなにかで勧めていただいたと思います。

Q.リノベーション(中古住宅の改修)を選んだ理由などはありますか?
ー住宅関係の仕事をしていたこともあり、リノベーションについてはなんとなく知っていました。リノベーション会社の説明会で聞いた話が、自分が考えていたことと同じだったので施工もその会社にお願いしました。

Q.居住エリアを現在の場所に選んだ理由は?
ーもともとこのエリアで育ってきたこともありますし、子供の学校などの関係からこのエリアにしました。なかなか良い物件が出てこない点と価格も高いエリアなので物件探しに苦労しました。

Q.補助制度の申請はどのような形で申請しましたか?また、スムーズにいきましたか?
ー自分で申請を行いました。施工をお願いした施工会社さんのサポートもありスムーズに申請できました。1点、施工前の画像を撮り忘れていたのですが、こちらも施工会社さんが撮っていてくれたので助かりました。

Q.市補助制度を活用することで、改修内容がより良いものになりましたか?(またはより良い物件を選ぶことはできましたか?)
ーはい。リノベーションで自分たちの思うような改修ができ、使い心地も100%とまではいかないものの満足しています。補助いただけた費用は今後のメンテナンスにも当てることもできたりするので助かっています。

Q.補助制度の活用を検討している方にメッセージなどあれば。
ー活用をお勧めします。

●2組目(電話インタビュー)
M様(西区)/ご夫婦+お子様1人世帯
補助金の改修内容:マンション壁付きキッチンを対面キッチンに改修

壁付きキッチンをリノベーションで対面キッチンに変更

Q.どのようなリノベーションを行いましたか?
ー中古マンションを購入、フルリノベーションを行いました。

Q.市の補助制度をどこで知りましたか?
ー三宮のすまいるネットさんへローンの相談で伺った際に職員の方にすすめられて知りました。

Q.リノベーション(中古住宅の改修)を選んだ理由などはありますか?
ー特にこだわりもなく、初めは新築の戸建てやマンションで検討していたのですが、妹が建築関係の仕事をしており、会話の流れでリノベーションのことを知りました。そこで中古住宅をリノベーションするといった選択肢が出てきた感じです。

Q.居住エリアを現在の場所に選んだ理由は?
ー神戸出身ですが結婚を機に明石市へ移動、子どもの出産を機に神戸に戻ってきた感じです。夫婦それぞれの実家との距離感や、仕事の交通も考えると今のエリアになりました。

Q.補助制度の申請はどのような形で申請しましたか?また、スムーズにいきましたか?
ー自分で申請を行いました。スムーズにできたと思いますが、申請時に必要な施工前の画像を撮り忘れていました。施工会社さんが撮っていてくれたものがあったので助かりました。

Q.市補助制度を活用することで、改修内容がより良いものになりましたか?(またはより良い物件を選ぶことはできましたか?)
ー思うような改修ができたと思います。壁付きキッチンを対面キッチンに変更することができて子育てしやすい環境が作れたと思います。

Q.補助制度の活用を検討している方にメッセージなどあれば。
ー活用をお勧めします。私のように市外からの転入の場合は補助金額もあがりますのでおすすめです。

暑い中インタビューにご協力いただきありがとうございました!

神戸市子育て支援住宅取得補助制度は現在も受付中です。(令和3年3月31日までにリノベーション工事または新築工事が終了するものが対象になります。予算に達し次第、受付を終了します。)

詳しくはこちら

【中止】実例から知る! 神戸のスキマを楽しむ方法 ~空き家・空き地の魅力を語るトークイベント~

【新型肺炎の感染拡大の影響により、中止となりました。】

神戸には使われていない空き家や空き地が110,000以上もあります。
つまり、こんなにたくさんの「楽しむスキマ」があるということ!
空き家・空き地での活動をきっかけに地域とのつながりが生まれたり仲間との出会いがあったなど、
次の展開も楽しみな方々をゲストにお呼びしました。
ゲストのお話をきっかけにこれからの活動のヒントになったりできることの可能性が広がるかも!?
わくわくするような空き家・空き地の活用について一緒に考えてみませんか?

ゲスト:
◆みんなでつくる みんなののうえん ~食と農で人を繋げる~
 金田 康孝さん(一般社団法人グッドラック 代表理事)
大阪市南西部、北加賀屋に、食・農をテーマにしたコミュニティ農園「みんなのうえん」を立ち上げ、人口減少により空き地となっていた住宅街の一角を、地域住民らと協力して開墾。現在、寝屋川にて新農園づくりを展開中。

◆いちばたけの開拓ストーリー ~市場の空き地を活用!~
 坂本 友里恵さん(mottif lab代表)
灘中央市場内の空き地を使った畑=「いちばたけ」の取り組みに、整備方法やワークショップ運営についてのアドバイザーとして関わる。水道筋地域まちなか再生協議会のアドバイザーとして、まちづくりやネットワークづくりを行っている。

◆クラウドファンディングを学ぼう ~新しい資金調達のカタチ~
 井賀 英夫さん(株式会社イガクリ 代表取締役)
ご当地クラフトコーラの開発など「食」に関連した事業を通じて地域の活性化に取り組んでいる。その中でクラウドファンディングと出会い、現在「FAAVO播磨」のエリアオーナー。自身が挑戦した経験も活かし、各地でクラウドファンディングセミナーの講師を務めている。

◆長野市善光寺門前町におけるエリア再生 ~行政×クリエイター=?~
 矢吹 剣一さん(神戸芸術工科大学 芸術工学部 環境デザイン学科 助教)
専門は都市デザイン、まちづくり。(一社)アーバンデザインセンター坂井(福井県坂井市)の副センター長として、公・民・学で連携のもと、空き家・空き地の再生による歴史的な市街地の活性化に取り組んでいる。

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増える週末DIY。地方公務員チームが作る地域とつながる場所。

普段は仕事をしながら休日を使ってDIYでリノベーションを行う人が増えてきている。渡辺祥弘さんは地方公務員だ。神戸市役所で働きながら、長田区にある木造長屋をきっかけにDIYでリノベーションを始めた。現在は同じ職場の仲間たちと、リノベーション等のワークショップを通して、地域とのつながりを重視した活動にチャレンジしているとのことでお話を伺ってきた。

1.地方公務員たちのDIYチーム

(チーム コアクション。左から髙見大地さん、渡辺祥弘さん、佐藤直雅さん)

働きながら、休日などの空いた時間を使ってDIYで改修する人が増えつつある。当サイトでも過去に平井陽さん(記事はこちら)や西村周治さん(記事はこちら)を取材、紹介させていただいた。
今回取材させていただいた渡辺さん、髙見さん、佐藤さんは神戸市で働く地方公務員だ。普段から地域と向き合っている人たちが、仕事以外のプロジェクトを通して地域に入っていくケースはめずらしいのではないだろうか。3人はコアクションというチームを結成し、主に空き家のリノベーション等のワークショップを通して、地域とのつながりを重視した活動をしている。3人とも学生時代に建築を学んでおり、建築に対する知識や興味はあるが現場経験はほとんどなかった。そこで、プロに実践的な建築を学びながら、DIYによるリノベーション活動を始めた。

2.チーム発足のきっかけとなった長田区の空き家リノベーション

(築100年強の木造長屋、天井はむき出しで断熱をして、壁は合板仕上げ。)
(施工前の外観。もともとは隣も含めて4軒分の長屋だったらしい。)

コアクションの最初の活動拠点となった長田区の物件は、大正8年に建てられた木造の旧長屋。長田区南部には昔ながらの長屋の風景が残っているものの、空き家は増え続けている。

この建物も相続を契機に使われなくなり、活用に苦慮されていた。その時、オーナーから相談に乗っていたのが渡辺さんであり、なかなか住まい手が見つからない中、建物に興味を持ったのが髙見さんだった。オーナーにここに住みたい旨を伝えたところ、快く了解をいただいた。また、建物は古く、傷んでいる箇所もあるため自由に改修して良いとの事。ここからコアクションの活動が始まった。もともと建築の知識はあるが、現場経験はなく、改修現場に携わりたいと思っていた渡辺さん達にとってはとてもありがたい話だった。同じ想いを持った佐藤さんを仲間に加え、建物の改修計画を練る事に。

(土間打ちワークショップの様子)
(買い付けてきたシンボルツリーとドラム缶をカットして作ったシンク)

DIYで進めていくにも3人とも初心者のためどう進めれば良いか分からない。そこで、もともとつながりのあった建築士の合田さんに相談し協力をしてもらうことになったという。プロに習いながら作業を手伝い、できる部分は自分たちで進めていく流れでリノベーション作業を進める事とした。そして地域の人たちや、建築に興味のある人たちと経験の場を共有し、繋がることができればと、物件のリノベーション作業のほとんどをオープンにし、「解体ワークショップ」や「土間打ちワークショップ」等を企画し、みんなで作っていったとのこと。

DIYで改修された旧長屋は天井も高く開放的で、歴史を感じる梁もむき出し。買い付けに行ったというシンボルツリーも存在感を放っていた。また、ドラム缶を切断して作ったシンクなどもDIY感が出ていた。

1Fはほぼ完成して、現在は髙見さんが住みつつ、地域のイベント等がある際には無償で場所を解放することもしている。「これから2階の和室を改修して髙見さんの居室スペースを作る。」とのことだった。

3.塩屋の古物件を改修

(現在改装中の塩屋の物件)

現在、コアクションは、垂水区塩屋駅から徒歩7分程度のところにある古アパートを改修中だ。取材時は施工はほぼ終盤で、10月には完成予定との事。物件はほぼ下地の状態だったが1F、2Fともに特徴的な柱があった。このシンボルツリーは長田の物件にあったシンボルツリーと同じく、奈良県吉野まで買い付けにいったものだそうだ。2Fには安く購入できたという檜風呂を設置予定としている。

(左:安く購入できたという檜風呂 / 右:専門的なところはプロに依頼。)
(解体作業は経験済みで作業も順調だったとのこと。)

塩屋も長田と同様に、改修工事は、プロに任せるところは任せ、自分たちでできるところをプロに習いながら行った。渡辺さんたちは主に解体作業を行い、プロと一緒に内装を作っていったという。この物件は渡辺さんが所有することになったもので、1Fはチョコレート屋さんが入ることがすでに決まっているとのこと。2Fは住居スペースとして作っていくとのことだった。

4.地域でつながれる場所を作る

(長田の物件で過去に行ったワークショップ「まち歩き&デザイン講座」の様子)
(佐藤さんがメインとなって活動している灘中央市場の物件)
(過去のイベントの様子)

今ではコアクションのメンバーそれぞれが各エリアで活動し、今回の塩屋や長田区、灘区でDIYを通して人がつながる場所をつくっている。コアクションのメンバーも少しずつ増えてきているとのこと。聞くとどんどん活発な活動になっているように思うが、渡辺さん曰く「仕事もあるし、それぞれのやることも多く、時間がなかなか取れないのが悩み。」とのこと。その中で楽しみながら手を動かして物件を改修したり、イベントを企画運営したりして、仕事の枠を超えた繋がりを大切にしている。

4.取材を終えて

渡辺さんたちは仕事でも地域を支えている中で、仕事とは関係なくどんどん地域に入っていき、場所を作っていることにとても共感した。全国的に見ても渡辺さんたちのような地方公務員が増えることで、地域がもっと耕されていくように思う。

こうした活動をする人たちに共通しているのは、建物の改修でもイベントの企画や運営でも自分たちが何よりも楽しむことを最優先していることだ。専門家ではないため、失敗や苦労がたくさん出てきてもそれを楽しみつつ、本当に困った時はきちんと専門家に相談しながら活動をしている。物件の改修も、人が集まる場所づくりも、今や専門家しかできないような状況ではなくなってきたと感じた。

みんなを巻き込んで一棟ビルをDIY。多用途に使い進化中。

春日野道駅から徒歩約3分のところ、通りから少し入ったところに可愛らしい外観のビルがある。AO cafe共同オーナーの吉田あやさんはこの元印刷所のヴィンテージビルをDIYで改装し、カフェやタイ式ヨガなど多用途に事業を展開、最近では農作業も始めていると聞き、お話を伺ってきた。

ヨガ、カフェ、ボディケア、畑、小売とどんどん進化中

(左:笑顔が素敵な吉田あやさん(右)、1Fのカフェで。 右:ビル外観)

吉田さんたちは改装したビルそれぞれのフロアをタイ式ヨガスタジオ、ボディケア&整体、カフェとしてビル一棟を多用途に使い、事業を展開している。近頃は西区に農園を借りて有機野菜も作り始めたという。そして1階のカフェスペースで物販も始める予定と事業や活動がどんどん広がっている。さらには吉田さんの故郷の熊本で古民家を再活用できないかと動き始めたところとのことだった。アクティブに動き続ける吉田さんと共同オーナーの福満さん、そもそものスタートであるビルの改装について伺った。

お客さんを巻き込んでビル一棟をDIY

もともとは六甲道で整体院とタイ式ヨガスタジオを二人で運営していたところから始まる。吉田さんたちは次第にカフェもやりたいと思い始め、物件を探していたタイミングでこのビルに出会った。早速物件を借り、六甲道での営業は続けながら内装工事をスタートする。

(施工前のビル内観その1)
(施工前のビル内観その2)

いくらDIYで改装するにしても、二人で4階建のビル一棟はさすがに大変だ。さらにDIY初心者となればなおさらだ。作業量や時間が足りないのではと思っていたが、聞くと「このビルのDIYにはお客さんも含め30人くらいが参加してくれ、みんなと一緒に作りました。」と言う吉田さん。友人やヨガスタジオのお客さんたちを巻き込み、中には専門家の人もいたりして、教えてもらったりしながらワイワイと楽しく作っていったそう。しかし施工面積も広いためどうしても時間がかかってしまい、未完成な状態ながらも営業をスタートさせ、彼女たちは4階に住みながら改装作業と仕事をしていたという。

(みんなでつくる)
(専門的なところはプロの手を借りる)

そして改装作業が落ち着いた頃、吉田さんたちは作業工程をまとめた冊子をつくりDIY参加者に配った。自分たちも含め、お客さんや知り合いと一緒に作ってよかったポイントを聞くと、「自分たちで手を動かして作ったので、ものすごく愛着が湧いているし、何よりこのビルの弱点がよくわかった。」と言って笑っていた。DIYでやるからこそ物件の良い部分、悪い部分がよくわかるのだろう。

(リノベーション後 左/2F施術室 3F/タイ式ヨガスタジオ)
(リノベーション後 左/DIY参加者に配った冊子 1F/エントランス)

西区で畑を借り、野菜をつくる

(農作業も始めた)

昨年から西区の伊川谷で農園を借り、有機野菜を育てはじめたと言う吉田さん。週に1回は農作業に行き汗をかく。できた野菜は1Fのカフェメニューで使用しているという。農作業自体も初心者に近い知識だったが、教えてもらいながら徐々にできることも増えてきた。

(左:共同オーナーの福満さん(左) 右:収穫した野菜)

物販もスタート、さらには故郷で新たなチャレンジも

(1f 左側エントランス周りにセレクトされたアパレルなどが並ぶ)

いろいろな事業を展開していく中で繋がりも増えてきたという吉田さん、現在は1Fのカフェスペースで洋服やアクセサリーなどの物販スペースを作っているという。冒頭で少し触れたが、吉田さんの故郷である熊本県で古民家の利活用も始まったという。「まだ山の手入れで精一杯です。」とのことだが、近隣の森の間伐作業も自ら行ってしまうところがすごい。

(数年後に伐採できるようにするための皮剥き作業)

取材を終えて

お二人のアクティブさとチャレンジ精神は本当にすごくて、うまく言語化できないけれど、とにかく良いエネルギーが溢れているような印象を受けた。ある意味圧倒されていたような気もするけれど、当の本人である吉田さんは「えいっ!と初めてしまえばなんとかなりました!」と笑う。確かにいろいろ話を聞いて行くと本当にその通りで、知識や経験や男女関係なく一歩を踏み出すか、出さないかの違いだけなんだろう。

自分たちの手でゆっくりでも確実に開拓、進化していく彼女たちの姿勢は男女問わず刺激になる人も多いのではないだろうか。